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月とうさぎ
2006 / 10 / 10 ( Tue )
少し肌寒くなってきた。
12時を過ぎての帰り道、月が明るく照らしてくれる夜もある。
雲はあまりなくて、月がよく見えるそんな夜には、ウサギのダンスを思い出す。


誰にでも人生の転機がある。
私の最初の天気は9歳のとき。小学校3年だった。
小2のときに、洪水があって、母の居酒屋が浸水した。営業を再開するのにも大変な資金が必要ということもあり、店を諦めることに。その年内に、歩いて2分くらいの家に引っ越した。

おかしな家で、崖のような場所に建てられた家。借家。石の階段を登り、古い木のドアを開け、木の階段を上ると住居部分。薄暗い階段。この階段も嫌いだった。部屋自体も怖かった。周りの家を見下ろせる位、高い。二部屋と台所。大きな窓。窓から見えるのは空、屋根、何も無い空間。子どもの私には怖かった。
夜になると、母が仕事に出かけ、独りぼっちになる。今までもおかれていた鏡なのに、鏡に映った飯台の前に座っている自分の後ろが暗いことが怖かった。テレビの音を聞いているのに、鏡から目が離せないような。
また、この家、天井からムカデがぽたっと落ちてくることがあった。古い家。どんなに恐ろしかったか。
前の居酒屋の二階に住んでいたときも、怖かった。けれど、もっと狭くて、電気も明るかった。

当時、母は病気がちで、心臓が悪かったので、薬を飲み続けていた。薬の副作用で、ぶくぶく太っていたし、むくんでいたし、具合が悪くなることも多かった。かかりつけのお医者さんに往診に来てもらうこともよくあった。薬のせいで、鬱の症状が出ていたのもある。当然だが、暗い家の中。何もかもが塞がっているように思えた。
母の機嫌がいい時や体調のいいときはよい。でも、寝込んでいる母を見るのが嫌だった。小学生の私に何ができるだろう。ばかなただのガキだった私に。

転機を迎えたのは、私の一言がきっかけだったらしい。
「いつもみんな、『タイコちゃん、母さんは元気か?』って聞く。おんなじことばっかり。母さんが元気ならいいのに。」
私も、謎なことに、母が具合が悪いと学校に行かなかったりということを繰り返していたので、すっかり問題児だったろう。クラスにも馴染めていなかったし。
「4年生からは、学校の勉強も大切になってくるし、母さんもがんばるから、タイコもできるだけ休まんと学校行こな。母さんも元気になるし。」
この約束を二人で一生懸命に守ろうとした。
母は病院にもかからないですむようになったし、私も年に1日くらいしか休まなくなった。そうなれたのは、この2軒目のおかしな家から引っ越した後だった。それが3年生の頃。

3軒目の家に引っ越すまで、お風呂が無い家だった。
近所に、『ラジウム温泉』という銭湯があった。白髪頭のお婆ちゃんが番台に座っていた。お湯のにおい。湯気。ちょっとだけ硫黄の香りのする蛇口。入浴120円、洗髪200円という手書きの文字。いとうつかさのポスター。ドライヤー。ビン入りコーヒー牛乳。
母と洗面器やシャンプーを持って出かけたり、一人で行ったり。
家からまっすぐ歩いて、神社のある角を曲がる。お好み焼きやさんやパン屋さんのある通りを川に向かって歩いていくと左にあるのが、その銭湯。
10分もかからないけど、行くのが面倒だった。知らない人がいっぱいいるし、番台のおばあちゃんは無口でどことなく怖くて。
8の字型のタイル張りの浴槽。熱いお湯と温目のお湯に分かれていた。
冬の寒い日には、母が洗面器にお湯をためて、シャンプーを暖め、頭が寒くないようにしてくれたこともあった。
母と行く銭湯は楽しいものだった。銭湯自体は大嫌いだったけど。
寒くなってくると、母の口癖。「湯冷めせんようにしな。」そう言って、やたらめったら厚着させる。

丁度、これくらいの時期からかな、月が明るい夜。通りを歩く人影は見えない。そうすると、でっかい母が私の肩を抱えて言う。
「あんたのダンス。」
「うん!」
「湯冷めしたらいかんき(いけないから)。」
「うん!」
そして、母が歌いだす。

♪ソソラソラソラ うさぎのダンス
  タラッタタラタラ ふわふわゆくよ~

この一節しか覚えていない私。後半の歌詞なんて怪しい。うさぎ年の私のダンスだと母は言って、二人で、へたっぴなスキップを笑いながらしてた。

この瞬間がダイスキだった。

母の甲高い声が商店街に響いてた。


転機を迎える前のダイスキな思い出。
明るい月夜には思い出す。



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01 : 47 : 46 | わが母 | トラックバック(0) | コメント(9) | page top↑
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コメント
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寒くなってきたね。けどこの暖かい話を読んだらなんとなくいいなぁ~と思ってしまった。
寒い夜道に誰かと星空を見ながら歩きたいなぁ。小さな幸せを満面の笑みで話しながら、小さい頃のタイコさんのように。

そうそう、ウチは先日蓄暖入れましたよ。夜の冷え込みを感じる季節になりました。
by: hitc * 2006/10/10 02:27 * URL [ 編集] | page top↑
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部屋などたっと落ち
銭湯とかを厚着しなかったの?
by: BlogPetのラスタル * 2006/10/10 13:52 * URL [ 編集] | page top↑
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あれれ?
私も、
「タラッタラッタラうっさぎ~のダ~ンス~♪」
ってのを小さい頃によく歌ってました。
でもちょっとちがうのかな?
文字だけだとメロディーもわからないですしねぇ。
その部分だけしか覚えてないので同じものかどうか全然わからないんですが・・・。
私の父が大分出身ってのもなんか関係してるんですかね?
by: bob * 2006/10/10 21:17 * URL [ 編集] | page top↑
--管理人のみ閲覧できます--

このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * 2006/10/10 21:19 * [ 編集] | page top↑
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段々肌寒くなってきましたが、お風邪など召してませんか?どうぞ湯冷め等なさらないようにお気をつけてくださいね。
お月様には色んな思い出がありますね。それが良い思い出だと嬉しくなっちゃうし、ちょっと悲しい思い出だと切なくなっちゃう…月って不思議です。
by: 斐織 * 2006/10/10 21:22 * URL [ 編集] | page top↑
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わたしもうさぎのダンスの歌歌ってました♪でも、「タラッタ・・・・うさぎのダンス~」の後が何だったか・・・。「耳にハチマキピョコピョコ(?)踊る~」っていう歌詞があったような、無かったような(゜_゜)
寒いの苦手です(>_<) でも、タイコさんのこのお話を読んで、心が暖まるような感じがしました。冬もいいものなんですね♪
by: yuki * 2006/10/10 23:18 * URL [ 編集] | page top↑
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hitcさん

お月様を見ると思い出します。歌とともに。
大きいと思ってた母の背を抜いてからは、結構ショックでしたね。小さいんだってことと、もう戻れないんだってことが。
嫌なこともあったけど、これは楽しい思い出w(^ー^)



bobさん

タラッタラッタララなんだ!母はソソラソラソラって歌ってたから、信じこんでた・・・。違うんですね。
うちの母が適当なだけで、同じ歌だと思います!
地域によって違うものってありますよねー。
歌詞、どうなんだろう。二番とかあるのかな。



ten☆さん

ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコ
ヾ(*'ー')*'ー')*'ー')/"お元気で



斐織さん

ははは。何だろう。思い切り風邪を引いています。ティッシュ、一箱、一日で使い切ってしまいました・・・。休みに風邪っていうのも悲しい。本当にばかです。
斐織さんは何を思い出すのかな・・・。




yukiさん

おおおおおおおおおお、感動!初めて知った!そんな歌詞なんですね。すごい!
ありがとう。
私は寒い方がすきだなぁ。
暑いと、脳みそがはたらかないんですよね。


by: タイコ * 2006/10/11 03:48 * URL [ 編集] | page top↑
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一読した後、目をつぶると、小さいたいころんとお母さんと風景が浮かんできました。全然知らない情景のはずなのに色鮮やかでニオイまで感じるような感覚。不思議。
他の方もコメントしてますけどなんだかとてもとてもあたたかいです。
恵介は月というと鬼束ちひろを思い出します。彼女のむき出しの鋭い感覚がお気に入り。

by: 恵介 * 2006/10/12 01:10 * URL [ 編集] | page top↑
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恵介さん

鬼束ちひろ!私、『月光』は好きです。わかるなぁ。刺さる感じがするんですよね。あの人の声や歌い方は。
ここにこうして、母との事を書き溜めていくと、自分の気持ちも整理できるような気がします。ああ、こうだったなぁとか、昔は気づかなかったけど、そうだったんだろうとか。年をとったって事ですね、きっと。←まとめすぎ。

by: タイコ * 2006/10/12 02:12 * URL [ 編集] | page top↑
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